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発酵の世界
2019.05.07

魔法としてのチョコ #1チョコの起源

はじめに

今でも初めてお伝えすると「え?ほんとに?」と驚かれる方が多いのですがチョコレートはカカオ豆を発酵させて作る「発酵食品」のひとつです。

過去の連載「魔法としてのチョコ」に手を加えて、今年のバレンタインデー・ホワイトデーに向けて、人の心と身体に働きかける魔力を持つチョコの起源、効能、歴史、製法などに迫ります。全部読んでいただくとチョコって何なのかが分かるかも♪

そもそもチョコレートとは

カカオの種を「発酵」させ「焙煎」したカカオマスを主原料として、砂糖、ココアバター等を混ぜて固めたもの。木の幹に直接なるカカオの実から種を取り出した後、乾燥させる前の工程にて発酵させる。

チョコの起源

チョコレートは元々はカカオの粉を水に溶かした苦い飲み物。南米を征服した者達の記録では、トウガラシと混ぜて飲む栄養ドリンクで、またその希少性から支配層中心に行きわたる食物であり、通貨として流通するほど価値が高かった。1579年の記録からチョコレートは「甘い飲み物」に変わっているけれど依然飲み物です。

チョコレートはスペイン語のチョコラテ(chocolate)の英語読み。
チョコラテという呼び名は、南米のショコアトルというトウモロコシドリンクから派生した説と、発酵を意味するショコヤックと水を意味するアトルを組み合わせてショコアトルになった等の諸説がある。

カモシカでは、
発酵する水=ショコアトル(南米の現地語)
→チョコラトル(伝わる過程で変化)
→チョコラテ(スペイン語)
→チョコレート(英語)
と変遷した発酵起源説を支持。

カカオ信仰

カカオは古代は見えない世界と見える世界の間に位置づけられていたのかも♪

古代の中南米諸国でカカオはヒトの誕生から死ぬまでの節目に使われたと記録されている。まず、子供が産まれるとカカオを川に捧げてその子供がすくすくと育つようにと安全祈願。成人式ではカカオと山の水を混ぜて洗礼をした。

結婚式ではパン、ラム酒とカカオの3点セットでお祝い。結婚前の婚約時にも、花嫁の家に花婿の家からカカオを贈る風習もあったという。そして、死者があの世に旅立つ為にもカカオはその墓前に捧げられた。

遠い昔、カカオに始まりカカオに終わる風土があった。

もしかしてカカオ豆は甘えん坊かも♪
でも発酵を経て「神の食物」(テオブロマ)になる。
※テオ=神、ブロマ=食べ物

写真のようにカカオは幹から直接ぶら下がり、それはカカオポッドと呼ばれます。カカオポッドの中に20から60個ほどの種子があり、これがカカオ豆 (cacao beans)。

カカオは「母の木」と呼ばれるコンパニオンプランツ(それがカカオの木の事もある)の日陰で育つ甘えん坊。

カカオは育つ土が湿っていないとダメで、さらに風にも弱いため母の木は保湿に加えて防風も兼ねている。母親無しには大きくなれないのは植物なのにどこか人間に近い。

次回「チョコの効能」で詳しく触れるカカオの成分「テオブロミン」が人間以外には代謝が難しいことを踏まえても、ヒトとカカオは何か必然性を持って関わっているように思えてなりません。

さて気候としては、気温が年平均21度、年間雨量1000ミリが生育条件で、ベネズエラは条件が絶妙に揃い質の高いカカオの産地。